佐渡の湧き水 貴重な自然をたずねる
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西三川・砂金山ジオサイトじ いわたつじんじゃ湧水の歴史115 夫婦沢清水は、湧出地点の側に夫婦沢という沢があることから、この名称になったといわれています。 夫婦沢清水は、数百年前から湧出していたといわれており、羽茂大草集落にある加藤左近(羽茂城主の侍医)の石碑には『天正 17 年上杉景勝の佐渡攻略により城をのがれこの地に隠棲、と伝えられる。』と記されており、地元では天正 17(1589)年頃には、すでに湧出していたのではないかといわれています。 夫婦沢清水の手前にある林道は、大崎小泊線が通る以前、集落の往来や農作業へ向かう道として使用されており、林道を通るほとんどの人が夫婦沢湧水を利用し、木陰に覆われた場所で一息ついていたといいます。また、井戸の出が悪い時期になるとこの清水を樽で汲んで使い水としたこともあったとされます。その後の道路整備に伴い、次第に林道は使用されなくなり、それにともない清水もあまり利用されなくなったと言います。 夫婦沢清水周辺には、「度津神社」があります。度津神社は、佐渡一ノ宮として尊崇されており、山に抱かれて佇む風景は、佐渡式内社第一にふさわしい威厳があります。例祭は 4月23日で、子供たちの勇壮なやぶさめや稚児の舞、大獅子が奉納されます。また、神社の前を流れる川は、名物「鮎の石焼き」で有名な羽茂川です。 有志の方により、適時清掃や草刈りが行われているほか、平成 15(2003)年頃に湧出地点の看板が設けられ、平成 17(2005)年頃には湧出地点に屋根が設けられています。 なし 図 22-8 度津神社図 22-9 鮎の石焼き ㉒ 夫婦沢清水周辺情報 保全活動文 献

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