前浜海岸ジオサイトたんげさぜんいったんはやしふぼう湧水の歴史139 源十郎清水は、元和元(1615)年頃には湧出していたとされており、三川集落において開墾の歴史と共に歩んできた湧水です。湧泉がある場所は標高約 170m に位置しており、下流域には多くの棚田が広がっています。集落は、海岸沿いにあることから、田まではかなりの距離を歩かなければならず、一日に 2 ~ 3 回程しか往復できなかったそうです。また、小さい田んぼも多く、苗を一反で 37 枚の田に植えるところもあり、当時は遊ぶ暇もなく、米の荷下ろしなど多くの苦労があったと聞きます。なお、収穫した米は定期船により、春日崎から出雲崎へと運ばれていたそうです。 昭 和 25(1950)年 頃 に なると、田 畑 へ 向 かう林 道 が 整 備 さ れ、さらに 昭 和 40(1965)年頃には農道が整備されています。このほ場整備を契機として、源十郎清水は湧泉から流出地点までの整備が行われ、用水路とパイプを用いた現在の形として整えられています。湧水は昔から涸れることがないとされていますが、初夏から秋季にかけて若干水量が減少します。 源十郎清水から佐渡一周線を赤泊港方面へ進むと、島の祭り・文化とくらしをテーマとした「赤泊郷土資料館」があり、踊屋台や奉公御渡海の模型などが展示されています。 また赤泊出身の丹下左膳の作家・林不忘の特設コーナーもあります。 源十郎清水を利用されている方により、維持管理が行われており、流出地点から湧泉までの道や用水路、パイプの補修等が行われています。 なし 図 27-8 赤泊郷土資料館図 27-9 踊屋台(赤泊郷土資料館展示)㉗ 源十郎清水周辺情報保全活動文 献
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