前浜海岸ジオサイトせ おおたまつがさきかいがんこう湧水の歴史147 西龍寺は、佐渡八十八ヶ所霊場会の第七十六番目として知られており、次のとおり紹介されています。『元は多田の荒町にあり、多田城主の祈願所であったといわれます。文政 3(1820)年に建てられた大師堂には「丸山のお大師さん」として全島的な信仰を集めています。』 西龍寺は,丸山のお大師さんとして知られており、この「お大師さん」とは弘法大師のことです。本堂の側には弘法大師を祀る大師堂があり、訪れる方は、西龍寺の本堂と共に大師堂に立ち寄り参拝されています。西龍寺湧水は、本堂と大師堂の脇や水神様のたもと袂などから湧出しており、地元では「お大師様の水」とも呼ばれています。 西龍寺が多田の荒町に位置していたときは、火災や度重なる水害による被害を受けていたため、寛永元(1624)年以前に今の場所に移されています。西龍寺湧水も本堂が移された時から湧出していたのではないかと考えられています。当時は、涸れることのない水として集落の貴重な水源となっており、下流域の農業用水として田畑を潤していたといいます。 西龍寺湧水の近くにある松ヶ崎海岸は、北陸道の終点として古代から開けたところで、灯台のある岬の鴻の瀬は国府の瀬で佐渡の国津でした。越後とは海上の最短距離であったことから、日蓮聖人や世阿弥など、多くの流人たちもここから上陸し、小倉峠を越えて国中へ入るのが主なルートでした。この一帯は磯釣りに向いており、夏には海水浴場としてもにぎわいます。 西龍寺の方々によって定期的に清掃が行われています。 佐渡八十八ヶ所霊場会 公式ホームページ (http://sadoreijoukai.jp/nehan.html) 図 29-7 松ヶ崎海岸㉙ 西龍寺湧水周辺情報保全活動文 献
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