佐渡の湧き水 貴重な自然をたずねる
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前浜海岸ジオサイトようろうたき湧水の歴史 151  豊岡集落は水が豊富な地域ではありませんでしたが、豊岡清水は涸れることがないといわれ、昭和 28(1953)年に旧岩首診療所が置かれた際に、診療所の飲用水や生活用水として利用され始めました。このため「診療所の水」と呼ばれていましたが、今回の調査にあたり新たに「豊岡清水」と命名されました。この湧水がいつ頃からあったかは定かではありませんが、診療所で使われる以前にも4 ~ 5 軒が使っていたそうです。 昭和 56(1981)年になると現在の岩首診療所が新たに建てられ、一時期、豊岡清水が導水されていましたが、平成 11(1999)年に簡易水道が設けられてからは、利用されることはなくなりました。しかし、昭和 60(1985)年頃に豊岡漁港周辺の整備が行われた際に漁港内に導水されており、現在は主に漁具等の洗い水に利用されています。 旧豊岡村は,明治 10(1877)年に合併により誕生した村で、希望を込めて「豊かな岡」と名付けられたそうです。昭和 23(1948)年には佐渡汽船の定期船が豊岡に寄港することとなり、木炭、米、長竹などが扱われ、長竹は赤泊村に次ぐ販売実績だったそうです。 豊岡集落にほど近い岩首集落には、海抜約 250m ~ 400m の山腹に連なる「岩首昇竜棚田」があります。高台から見る棚田と海、集落を一望する絶景は、一見の価値があります。また、同集落内には、「養老の滝」があります。この滝は、不動明王が住む滝として知られ、滝の水は、飲むと子宝に恵まれる子宝の水として地元に伝わっています。 岩首診療所での利用がなくなってからは、特に保全活動等は行われていません。 両津市誌編さん委員会(1982) 両津市誌 町村編 上 pp.69-90 図 30-7 岩首昇龍棚田図 30-8 養老の滝㉚ 豊岡清水周辺情報保全活動文 献

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