小佐渡北部ジオサイトのうらぶん 月布施集落の隣の野浦集落では、毎年 7月に芸能フェスティバルが開催されます。文やにんぎょう弥人形(国指定重要無形民俗文化財)・春駒・佐渡おけさなど地元芸能団体の披露のほか、湧水の歴史161 月布施集落は水に恵まれており,集落内には大小合わせて7 本の河川があります。大清水は山手側にあって3 本の河川に供給され、下流域の棚田を潤しています。現在は簡易水道水源として利用されているため、余水のみが流出していますが、以前は湧泉から大量に湧出しており、湧水が吹き上げていたともいいます。その豊富な湧出量に由来して、大清水と呼ばれています。 大清水は、鎌倉中期または後期頃には湧出していたのではないかとされており、そのころから農業用水として用いられていたと考えられますが、時代の流れと共に休耕田が多くなり、利用量も次第に減少していきました。その後、水量が豊富であったため、昭和50(1975)年頃からほかの水源に代えて集落の簡易水道水源として利用されています。以前と比べると農業用水としての利用は少なくなったものの、現在でも集落の 1/3 の棚田を潤しており、集落にとって欠かせない存在となっています。 月布施集落は、平成 24(2012)年に設立された佐渡棚田協議会に参加し、中山間地域の棚田などの景観や伝統文化を次世代へ継承する活動を行っており、ビオトープ作りを通じた生態系保全への取り組みを行っています。海の幸も味わえます。 大清水は月布施集落により管理が行われており、水道補助管理者が中心となって保全活動を行っているほか、年に 3 回、草刈りが行われています。 両津市誌編さん委員会(1982) 両津市誌 町村編 上 pp.231-254 佐渡棚田協議会ホームページ (http://sadotanada.com)図 32-7 野浦芸能の里フェスティバル(文弥人形) ㉜ 大清水周辺情報 保全活動文 献
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