佐渡の湧き水 貴重な自然をたずねる
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小佐渡北部ジオサイトかざしまべんてんかたのおおっしゃりあかがめ かざしま湧水の歴史165  田ノ浜湧水は、別名として手崎の水とも呼ばれており、以前は湧泉が道路沿いにあり、子供達が学校帰りに岩間から湧出していたものを手ですくって飲んでいたそうです。どちらも地名に由来した名前となっており、湧泉自体は、江戸末期または明治頃には湧出していたのではないかとされています。 湧泉のある月布施集落には、鎌倉中期または後期頃に新興勢力が入ってきた記録が残っており、集落自体はそれ以前には形成されていたと考えられています。集落の由来は諸説あるとされていますが、弘法大師とお舎利と呼ばれる石の話が残っており、次のように伝えられています。 『「破れ衣をまとった一人の年取った坊さんが、一軒の貧しい家の前に立って、お経をとなえながら報謝を請うた。腰の曲がったおばあさんが、あげる物は何もないと言いながら、米びつの底をたたいて、やっと一握りの米をあげることができた。坊さんは大層感謝して丁寧に念仏をとなえて立ち去った。観音寺の浜に立った坊さんは、その米を浜にまいて、一心に祈ったら、お米が化して永久のお舎利になったと言うのである。」お婆さんの真心に感謝した坊さんが、いつまでも布施が尽きぬようにと言って「尽きぬ布施」と名付けたのが、地名の「月野布施」となり「月布施」となったと言われている。しかもこのお坊さんは弘法大師だとつけ加えられているのである。』(両津市誌) お舎利とは、仏や聖者の遺骨のことをいい、特に釈迦の遺骨を指す言葉で、地元では、月布施集落の所々の浜や山から出る豆粒大の石英が、波に洗われて白くなったもののことを「お舎利さん」と呼んでいるそうです。 月布施集落の隣の片野尾集落には、「赤亀・風島なぎさ公園 海水浴場」があります。男性的な外海府とは対照的に、佐渡独特の穏やかな海岸美があります。江の島によく似た風島弁天の眺めも美しくおすすめです。夏季にはサザエ採りの体験もできます。 湧泉の山林所有者の方により、周辺の清掃が行われています。 両津市誌編さん委員会(1982) 両津市誌 町村編 上 pp.231-254 佐渡八十八ヶ所霊場会.公式ホームページ.第七十四番 観音寺 (http://sadoreijoukai.jp/nehan.html)図 33-7 赤亀・風島なぎさ公園 海水浴場(風島弁天)図 33-8 赤亀・風島なぎさ公園 海水浴場(サザエとり体験)㉝ 田ノ浜湧水周辺情報 保全活動文 献

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