佐渡の湧き水 貴重な自然をたずねる
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170  中央の菱形(図 1)は、溶存成分の相対的な割合から領域Ⅰ~領域Ⅴの 5 つに分類されます。湧水の分類結果を表 3 に示します。 トリリニアダイアグラムにおいて、領域Ⅰは 11 湧水、領域Ⅱは 1 湧水、領域Ⅲは 0湧水、領域Ⅳは 15 湧水、領域Ⅴは 6 湧水が分布しています。33 湧水を通して見ると、菱形ダイアグラムの中央付近に分布する傾向が強く、領域Ⅰではやや固まって、領域Ⅳでは散らばるように分布しています。 大佐渡山地では領域Ⅳの Na-Cl の割合が大きいですが、これは海岸沿いに位置する湧泉の大半が、送風塩(海から風で送られてくる塩類)の影響を受けていることによると考えられます。⑨、⑪の湧水は領域Ⅴの中間型タイプに分類されます。 国中平野では領域Ⅰと領域Ⅳにそれぞれ 3 湧水が分布し、⑲の湧水は領域Ⅴの中間型に分類されます。⑬と⑭の湧水は、近い距離にある(直線距離で約 500m)ため、似た湧水特性を示しそうですが、⑬の湧水は領域Ⅳ、⑭の湧水は領域Ⅰに分類されました。これは、両湧水の間に藤津川が流れており、右岸側と左岸側では伏流状況および帯水層に違いがあることによると考えられます。 小佐渡丘陵については、大佐渡山地と同様に領域Ⅳの湧水は送風塩の影響を受けていると考えられる一方、小木半島の海岸付近に位置する㉓、㉔、㉕の湧水ではそれぞれ領域Ⅱ、領域Ⅴ、領域Ⅰと異なった分類となっており、送風塩とは別の影響を受けている可能性があります。特に㉓の湧水については地表から地下 125m のボーリング孔からの湧水であるため、他の湧水とは性質が大きく異なっています。表 3 湧水の分類結果佐渡の湧水特性

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