180 が関係していることは容易に想像できます。火山の地下には高温のマグマがあって、時々溶岩が流れ出ることがあります。このような溶岩は数百℃から千数百℃の熱を持っています。実際、火山の近くには温泉地がたくさんあります。 火山でも、現在活動しているものを活火山と呼びますが、その周辺には特に泉温の高い温泉地があります。新潟県の活火山と言えば糸魚川市の焼山や妙高市の妙高山などが有名で、焼山の周辺には笹倉温泉と焼山温泉、妙高山周辺には赤倉温泉、関・燕温泉、池の平温泉などがあります。 しかし、火山の無いところにもたくさんの温泉地があります。村上市の瀬波温泉や新発田市の月岡温泉、あるいは十日町市の松之山温泉などは、付近に火山はありませんが立派な温泉街になっています。これらの温泉地では、地下の比較的浅いところ(数百 m 程度)に高温の温泉源があります。このような高温の温泉源は、さらに地下深いところに存在する熱水が亀裂や断層などを通じて上昇していると考えられています。これらの温泉の多くは、大正時代から昭和時代初めにかけての石油の開発に伴って発見されました。 もう一つの熱源として、地下の地温が挙げられます。地球の中心部は極めて高温の物質からできていて、その熱は地球内部で対流しているほか、地表から大気に放出されています。地表面付近の浅いところでは大気の温度の影響を受けて日変化や季節変化がありますが、地面の下およそ 15m付近では一年中一定の温度になります。その温度はその地域の平均気温にほぼ等しく、新潟市付近では約 15℃です。それよりも深いところでは地球の深部に向かって一定の温度勾配で上昇していきます。この勾配を地下増温率と呼んでいます。日本付近の地下増温率は 100mにつき約 3℃の上昇です。したがって、地下 1,000m では地表よりも 30℃高い、約 45℃にもなっています。ここに地下水が存在すれば、温泉源として利用することが可能となります。なお、地下増温率は地下を構成する地質によって少し異なります。関東平野や越後平野のように透水性の良い軟らかい砂層などが厚く堆積している場所では、地表水の循環により温度が上昇しにくく、地下増温率は 100m につき 2℃程度のこともあります。反対に、硬い岩石は熱を伝えやすいので、これらが分布する新潟県内の丘陵地や山間部では、地下増温率が 100m につき 4℃以上になるところもあります。図 2 佐渡の温泉井の地温分布(文献 1 に加筆)佐渡の温泉
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