181② 佐渡の温泉の熱源 佐渡の温泉の熱源は、地下増温率によって増加する地熱を利用しています。佐渡の地質は、主に今から 2200 万~ 500 万年前のやや古い硬い岩石で構成されていて、地下増温率は 100m につき 2.5 ~ 6.0℃となっています。 温泉井戸内での温度測定は、温度検層という連続した温度分布を調べる方法が一般に用いられます。しかしこの方法では、浅い部分が本来よりも高い温度を示す場合が多いので、正確な地温の分布を測定するには、面倒でも 50mごとや決められた深度ごとに掘削道具を引き上げて、水銀製の最高温度計を降ろして井戸底の温度を測ります。このようにして深度ごとに測定し、地温の勾配を求めるとそれが正確な地下増温率になります。 佐渡の主要な温泉について、深度と地温の関係を図 2 に示しました。掘削深度は800m から 1,300m まで様々ですが、地下 1,000mの地温は 45 ~ 76℃の範囲にあります。このようにしてみると、佐渡の中でも地温が高い地域とそうでない地域があります。解り易くするために、地下の標高 -500m、同 -800m、同 -1,000mの 3 つの深度における水平温度分布図を作成し、図 3 に示しました。 標高 -500m では全体に 27 ~ 47℃の範囲にあり、佐渡の北部と南部で低く真野湾から国中平野にかけて 40℃以上の高温のゾーンが認められます。標高 -800m では地温は 37 ~ 64℃の範囲にあり、高温のゾーンが同様に認められます。標高 -1,000mではさらに高温になりますが、その分布傾向に変わりはありません。このような高温域の分布は、国中平野の方向とは少し斜交しますが、地下の何らかの地質学的な構造を反映していると考えられます。 図 3 地下の水平温度分布図(単位:℃、同前)佐渡の温泉
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