佐渡の湧き水 貴重な自然をたずねる
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引用文献 佐藤壽則・伊藤俊方(2013). 佐渡の温泉―歴史と地質・地化学的特徴―, 佐渡市教育委員会 ,184000 調査研究報告書 , 佐渡の自然史第 1 号 ,pp.53-75.おわりにます。この泉質の温泉には金井温泉、新穂潟上温泉、真野温泉、八幡温泉などがあります。金井温泉は佐渡一番の塩分濃度があり、強食塩泉とされています。また、八幡温泉は島内で最も湧出温度が高い約 48℃の温泉です。 炭酸水素塩泉は少し黄色がかった湯で、炭酸ナトリウムの成分で肌が保湿され、美肌の湯などとうたわれます。佐渡加茂湖温泉がこれにあたります。その他に、前述したモール泉(黒湯)である佐和田温泉や仙道温泉がこのタイプですが、溶存成分が少なく、分類上では単純温泉になっています。 硫酸塩泉は、傷を直す、血行を良くする、血圧を下げて動脈硬化を防ぐといった効能があります。鹿伏温泉(相川やまき温泉)、赤泊温泉、小木温泉などがこれにあたります。 単純温泉は溶存成分が 1,000mg/kg 以下で、色は無色透明のことが多く、なめらかで軟らかい温泉で、刺激が少ない特徴があります。その中でも pH が 8.5 以上のアルカリ性単純温泉は「美肌の湯」とされ、肌がつるつるになるという効果に人気があります。羽茂温泉や長手岬温泉がこれにあたります。なお、羽茂温泉は佐渡で最初の日帰り温泉です。 温泉の泉質や温度・湯量は、年月とともに変化しています。地表からの循環水により溶存成分が少なくなって、単純温泉になるケースも多く見られます。最新の情報はそれぞれの施設のホームページなどで確認することができます。 温泉は限られた地下資源です。昔から自然湧出していた温泉は変化することはあまりありません。しかし人工的に掘削しポンプで汲み上げている温泉は、溶存成分が配管の中に晶出するなどして目詰まりなどの障害を起こし、湧出量の減少や枯渇などを引き起こします。温泉を永く使用するためには、定期的なメンテナンスが必要であり、適正な揚湯量(汲み上げ量)以内で使用するなどの配慮が求められています。 温泉はいいな~ 佐渡の温泉巻末資料

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