佐渡の湧き水 貴重な自然をたずねる
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大佐渡トレッキングジオサイトおこどんでんやぶさめもくよくすい湧水の歴史 19 箱根清水は、後方のタタラ峰(ドンデン山、934m)に水源があるとされ、どんな渇水期でも枯れたことがないと伝えられており、佐渡随一の湧出量を誇るとされています。その起源は佐渡の国が興った頃からとも言われ、「箱根」という名称は御林の名称が箱根であったというのが一説であると伝えられています。また、「箱根」は箱形の峰(山)を指すとされ、羽黒山またはドンデン山から湧き出ることから、箱根清水と呼ばれるようになったとの説もあります。 この湧水は、かつて新潟県の指定無形民俗文化財である羽黒神社の流鏑馬神事(昭和 40(1965)年指定、3 年に一回行われる)の際に身を清めるための沐浴水として利用されてきました。しかし、現在は神事の担い手が少なくなり、平成 14(2002)年を最後に休止しています。  箱根清水の水源があるとされるドンデン山(タタラ峰の俗称)は、険しい山々が並ぶ大佐渡山地の中で、唯一優しく穏やかな山容を見せる山で、その名は頂の丸い山という意味の「鈍嶺」からきているといわれています。平成 16(2004)年には「新日本百名山」にも選ばれたこの山は、野の花の宝庫であり、山頂部の高原では牛が放牧されているほか、日本海に沈む美しい夕陽を一望することができます。 また、羽黒神社から東へ約 1km 程行くと、国の天然記念物の「羽吉の大クワ」があります。樹齢約 1300 年と推定される、我が国屈指のヤマグワの老大樹です。 毎年、お盆前に羽吉簡易水道組合が湧出口や貯水槽等の清掃を行っています。 両津市立中央公民館(1969) 両津町史 両津市役所総務課内 市誌編さん室(1979) 市誌だより 第 1 号図 1-8 ドンデン山図 1-9 羽吉の大クワ① 箱根清水周辺情報保全活動文 献

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