佐渡の湧き水 貴重な自然をたずねる
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海府北部ジオサイト湧水の歴史 29 賽の河原と呼ばれている場所には、次の言い伝えを記した看板(賽の河原)があります。 『賽の河原は現世と冥土との間にある三途の川原にあり、親に先立つ不幸な幼児たちが収容される今の養護施設である。幼児の仕事は、「一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のため…」と不幸を詫びながら小石を積むので無数の小石の塔ができる。しかし、夕方になると地獄の鬼どもに踏みくだかれ、幼児たちは救いを求め泣き叫び逃げ回る。それを、「冥土の母父はわれなるぞ」と現れて、法衣に包むのは、地蔵菩薩である。鬼どもの嵐が去ると幼児たちは小石積みに励み翌朝までに立派な塔を積み終わるという。』 地元の方の話によれば、以前は賽の河原清水の湧水を手桶に汲み、賽の河原の供養水、使い水などとしていたといい、戦前の賽の河原の供養の際には、饅頭やうどん売りの店が出て賑わっていたそうです。 賽の河原清水を挟んで東には二ツ亀、西には大野亀があります。 二ツ亀は、2 匹の亀がうずくまっているような様子からその名がつけられました。この島は、沖の島・磯の島と呼ばれ、波のない時には陸と続き、潮が満ちてくると離れ島になります。また海水の透明度は佐渡随一を誇り、「日本の海水浴場 100 選」にも選ばれています。 また、大野亀は標高 167m の一枚岩が海に突き出している姿が圧巻です。初夏にはトビシマカンゾウの群落が見事であり、毎年 6月には大野亀を舞台に、佐渡民謡や鬼太鼓が堪能できるイベント「佐渡カンゾウ祭り」が開催されます。 湧水は岩塊の間から複数箇所湧出しているものであり、保全活動は行われていません。 相川町史編纂委員会(2002) 佐渡相川郷土史事典 両津市誌編さん委員会編(1989) 両津市誌別冊年表図 3-7 二ツ亀図 3-8 大野亀③ 賽の河原清水周辺情報保全活動文 献

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