海府南部ジオサイトふもと湧水の歴史39 小路山清水は、林道五十浦線を整備する際に、ふとん籠に設けられた横ボーリング工から湧出したものです。当初は、この湧泉には名称はつけられていませんでしたが、今回の調査にあたり地区の方により新たに命名されました。この小路山とは、湧泉付近の山の名称であり、その麓から湧出していることに由来しています。 湧水がボーリング工のほかに、ふとん籠底面から湧出していることや、近くに弥奈清水が湧出していることから、五十浦集落は水の豊かなところと思われます。 林道整備によって湧出したため、比較的新しい湧泉であり、現在は、地元の方などがお茶の水に利用するために汲みに来ると聞きます。 五十浦集落の隣の岩谷口集落には「竜眼の池」があり、次のことが伝えられています。 「昔、盲目の子を持つ母竜がわが子の目が見えるようにと願いながら、真夜中に眼玉をこの池で洗っていました。そのとき人間の気配がしたため、慌てて眼玉を池の中に落とし、そのまま海中に逃げてしまいました。その黒い眼玉を拾った老人がかわいそうに思い岩屋薬師に差し出すと、薬師は大変哀れんでその眼玉をきれいに洗って池に返しました。しかし、母竜は二度と姿を現すことはありませんでした。今でも、二つの竜眼は真夜中になると、母竜が来るのを待つかのように青白い光を放つといわれています。」 また、同集落には、日本海の荒波で打ち上げられた漁業用、海流調査用のブイ(浮き)で作った「ブイアート」が見られ、総数約 600 のブイが用いられています。 年に 1 ~ 2 回、林道整備を行っており、その際に湧泉付近の草刈りが行われています。 佐渡地区農山漁村体験推進協議会(2015) さどんぽ シナリオ 図 5-7 竜眼の池(周辺)図 5-8 ブイアート⑤ 小路山清水周辺情報保全活動文 献
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