国中平野・加茂湖ジオサイトじっそうじみょうしょうじかんじんほんぞうしょうじっかいまんだらかやぶきあらわちくじ湧水の歴史77 湧水の名は所有者の酒井家初代当主酒井翁助に由来しており、少なくとも200 ~ 300年前からあったと伝えられています。平清水地区は水脈があるようで、いたるところに清水があることから平清水という地名で呼ばれるようになったとされています。酒井家では古くから家の庭にある二つの井戸を利用してきましたが、夏場はかれてしまうため、桶をかついで少し遠くにある翁助清水を汲みに行っていました。その源泉は竹藪の下から湧き出しており、夏場でも涸れることがなかったといわれています。以前は、近所 16 戸で夏場の水不足時に共同利用していたとされています。 昔から竹藪の下に道路(県道 306 号市野沢中興線)がありましたが、昭和 45(1970)年、県の道路拡幅工事の際に竹藪内の井戸を埋め、道路脇に引水しました。しかし、道路がカーブしている所にあったため、利用者の駐停車が危険だと判断され、平成 15(2003)年に現在の場所に再度移設されました。 翁助清水の周辺には日蓮ゆかりの寺があります。いちのさわ きょしょ 実相寺は、日蓮が一谷に居処を変えたおり、毎日朝日を拝したという地に建てられた寺です。日蓮の袈裟懸けの松が残されています。 また妙照寺は、日蓮が「歓心本尊抄」や「十界曼陀羅」を著し、教義を確立した霊跡に弟子が建立したものです。茅葺き屋根が美しい寺で、日蓮宗の本山の一つに数えられています。 定期的な清掃は行われていませんが、地区の方や湧水の利用者が逐次清掃や草刈り等を行っています。 日本地下水学会編(2009) 新・名水を科学する pp.80-85 新潟県・佐渡島の名水 図 13-7 実相寺図 13-8 妙照寺⑬ 翁助清水周辺情報保全活動文 献
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