佐渡の湧き水 貴重な自然をたずねる
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国中平野・加茂湖ジオサイトび 『承久(1221)年の頃、順徳帝が黒木御所から千種の里へ行啓の途中、藤津川で百足(毘しゃもんてん沙門天の使い)の波紋が立っているのをご覧になり、「上流に毘沙門天が鎮座されていしょうぼうじしんじめんぜ あ みろうそくろうそくのうかんばつぼく湧水の歴史81 百足杉の看板には、次のように記されています。るのか」と尋ねられ、毘沙門堂にお立ち寄りになられた。当時、村々は大干魃で百姓達が苦しんでいたので、帝は親しく毘沙門天に雨乞いの祈祷をしたという。このとき植えられた杉が百足杉(推定樹齢千年)と名付けられ、今では百足の宿る神木として親しまれている。』 その百足杉の脇を流れているのが百足清水です。清水は『毘沙門天の御加護により、百日照るとも水出ずと言うことなく、又百日雨降るとも増水して水濁ると言うことなし』(平泉文化財保存会)と伝えられ、田畑の干ばつを救っていたと聞きます。また、地域の信仰は厚く、病気にかかった際は清水が治療に役立つと考えていたようです。 百足清水周辺に位置する正法寺は、世阿弥ゆかりの寺であり、世阿弥の最初の配所である万福寺から、内乱のため移された寺とされています。境内にある大老朴(ホウノキ)の根元には世阿弥が腰掛けたというお腰掛け石が残っているほか、雨乞いの舞に使ったとされる、県内最古の面、神事面べしみ(新潟県指定有形文化財)や世阿弥像なども所蔵されています。また、ここでは蝋燭の明かりによる蝋燭能が行われます。 地区と公民館とで 6月に草刈り、7月に清水の清掃を行っています。 平泉文化財保存会 百足清水(看板)、百足杉(看板) 日本地下水学会編(2009) 新・名水を科学する pp.80-85 新潟県・佐渡島の名水図 14-7 正法寺図 14-8 お腰掛け石図 14-9 神事面べしみ⑭ 百足清水 周辺情報保全活動文 献

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