国中平野・加茂湖ジオサイトおうめどうもののべじんじゃおぐらせんまいだ湧水の歴史93 ひっかけ清水は、農作業の行き帰りや峠越えをして来る人が小倉の店に行き「(水を)一杯ひっかけよう(飲む)」と言って利用していたことから、自然と「ひっかけ清水」の名で呼ばれるようになったそうです。また、地名に由来した「小倉の清水」とも呼ばれています。 大正の初め頃には湧出地点の手前に商店があり、また、当時の小倉地区には 300 戸程の民家があったそうですが、現在はかなり少なくなっています。商店では、ひっかけ清水を利用した豆腐などを販売しており、清水で冷やしたラムネや清水を利用したトコロテンが美味しいと評判だったと言われています。しかし、多田皆川金井線の道路改良工事の際に商店は閉じられ、建物は取り壊されました。 ひっかけ清水は、昭和 39(1964)年の新潟地震の際に湧出量が現在の半分まで落ち、二週間程濁っていたと聞きますが、以後は、どんな日照りでも水が枯れることなく湧出しているそうです。 小倉集落にある御梅堂の藤と梅の木は由緒ある霊木として貴重です。藤の周囲は 2.3mもありますが、これに劣らない藤の古木が近年まで物部神杜境内にもありました。梅は日蓮聖人が松ヶ崎より塚原の配所へ向かう途中にここに立ち寄り、杖にしていた梅の枝を当地へ挿し置いたところ、現在の木に育ったと伝わります。 また、小倉峠道の途中で、山に張り付くように作られた「小倉千枚田」を見ることができます。小さな田が段上に並ぶ風景は四季折々で様々な顔があり、日本の原風景を見ることができます。 土地所有者の方が、定期的に清掃や草刈り等を行っているほか、利用者の方が適時清掃を行っています。 菱川勉 私の佐渡風景 新潟日報(1986 年 1月22日発行)図 17-8 御梅堂の梅図 17-7 商店の様子(当時)(絵:菱川勉)図 17-9 小倉千枚田⑰ ひっかけ清水周辺情報保全活動文 献
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